<12人の優しい日本人>

〔'91・ニュー・センチュリー・プロデューサーズ
サントリー=日本テレビ放送網〕
監督:中原俊
脚本:三谷幸喜と東京サンシャインボーイズ 
撮影:高間賢治
音楽:吉田就彦
編集:冨田功/冨田伸子
出演:塩見三省/相島一之/上田耕一/
二瓶鮫一/中村まり子/大河内浩/梶原善

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 もしも日本の裁判に陪審員制度があったら?
と言う設定でのコメディー映画、ちなみにアメリカ映画「12人の怒れる男」を
モチーフに三谷幸喜さんが
東京サンシャインボーイズの舞台公演用に書かれた作品を
櫻の園の中原俊氏が監督した作品、まだ人気が出る前のトヨエツにも注目。

日本人と言うのは雑談は好きだが、
何かを決める”議論”になると極端に弱くなる、
いかにも日本人!と言う12人が
ひとつの部屋に集いある事件の審議を始めるのだが・・・。

登場する12人の特徴

陪審員 1号
(陪審員長) 「陪審員の経験を持つ女子校体育教師」 (塩見 三省)
陪審員 2号
「最後まで有罪を主張する精密機器製造会社社員」 (相島 一之)
陪審員 3号
「部屋から逃亡を企てる喫茶店店主」 (上田 耕一)
陪審員 4号
「あくまで無罪を主張する元信用金庫職員」 (二瓶 鮫一)
陪審員 5号
「メモ魔の商事会社庶務係」 (中村 まりこ)
陪審員 6号
「激しやすい医薬品会社セールスマン」 (大河内 浩)
陪審員 7号
「個人的な事情から有罪と決めつけるタイル職人」 (梶原 善)
陪審員 8号
「審議を半ば楽しんでいる主婦」 (山下 容莉枝)
陪審員 9号
「議論好きの歯科医」 (村松 克己)
陪審員10号
「口べたな自営クリーニング店のおかみさん」 (林 美智子)
陪審員11号
「自称弁護士、実は役者」 (豊川 悦司)
陪審員12号
「仕切り屋の大手スーパー課長補佐」 (加藤 義博)


 場面は話し合いをするべく12人が1つの部屋に集まるところから始まる、
審議する事件とは「復縁を迫って会いに来た元夫と口論になった元妻が、
人気のないバイパス道路で走ってくるトラックに元夫を突き飛ばして殺した」
と言うニュースよりワイドショーが取り上げそうな事件で、
法廷で見た若くて美しい被告に同情ムードが漂う中、
「始めに採決を取りましょう」
ということで、有罪・無罪の決を採ったところ、12人全員が無罪!
あっという間に審議終了、
ところが「なんかあっけなかったですね〜」と退室する陪審員たちに、
陪審2号が「本当にこれで良いのかな、理由が聞きたいな」と言い出した、
「全員無罪なんだから話し合うことも無いでしょう」
と言うことで帰ろうとする皆に陪審2号が
「じゃ、僕は有罪にします」
こう宣言したことから、ぶつぶつ良いながらも皆席につき話し始めたが・・・。

議論と言う言葉には無縁の日本人が議論をするとこうなってしまうと言うのを
巧妙に描いた作品、
12人のキャラクターが見事で「こういう人、いるよね」
という日本人の様々なパターンを揃えている。

会社の会議ならまだしも、
議論を経験したことのない人間が集まるとこうなるという、
絶妙な展開で、まるで「町内会」のような感じになるのがまた面白い。

ある事をきっかけに次第に議論は沸騰する、
有罪、無罪の間を二転三転行ったり来たりする様子はまさにスリリング、
まじめなもの、笑えるものなど新たな推理、仮定が次々と浮かんでは消える、
終盤、トヨエツ扮する「自称弁護士」が次々と仮定をひっくり返して真実に急迫するスピード感は、
審議のジェットコースター・ムービーと言っても良いような迫力、
12人もいるけれど、
全員面白いほど明確で個性的な性格が与えられていて無駄な人が居ない。
(監督のインタビューを読むと12人全てに家庭環境など
 細かい設定があったようで、
 それを出演者が飲み込んでいたからこそ、
 目の離せない映画になったのでしょう)

三谷作品らしく所々で”笑わし所”がある、例えば、
「貴花田と若花田、どっちが先に横綱になるか」
という話になり決を採るシーンには爆笑!
最後に裁判の結果となる、
決め手のシーンでも笑える(これは見てのお楽しみ)

基が舞台用の作品と言うこともあってか、
登場する場面は審議している部屋が大半で、他にちょこっとだけ、
隣の部屋や廊下が出てくるだけの一見動きの無い作品だが、
カメラが発言者を追って次々とタイミング良くロングとアップを使い分け、
一つとして同じアングルがないと感じさせるほど、
これは、なまじ広い空間を自由に使うことの出来る撮影より、
よほど緻密な計算と徹底的なリハーサルを繰り返したことが見て取れるし、
会話の内容に応じて引いたり、思わず乗り出したり、
という細かな移動を使った見せ方も、
「観客の気持ち」と絶妙に一致していて芸が細かい。

これは恐らく舞台で演じられたスピード感を映画らしく置き換えた結果で、
中原監督の腕のすばらしさではないだろうか。

自分は3回半(TVで途中から見たのは半分計算)見たが、
何度見ても実に面白い、
それはやはり1人1人の個性とスピード感が飽きを感じさせないのだろう、
脚本,監督,出演者,カメラ,編集,音楽,全てが完璧にかみ合ったからこそで、
ひとつでも、出演者の1人でも道を外れたらこうはならなかっただけに、
この映画にかかわった全ての人が、
最高の仕事をした結果が”飽きない映画”を生んだ。

この映画が公開された年は日本映画の当たり年だった、
山田洋二監督の「息子」黒澤明監督の「八月の狂詩曲」
北野武監督の「あの夏、いちばん静かな海。」竹中直人監督の「無能の人」
洋画では
「ダンス・ウィズ・ウルブズ」や「ターミネーター2」など話題作が多かった、
それゆえに「12人の優しい日本人」は目立たなかった、
制作費は1番下だろうが、自分の中では面白さは1番上の作品。

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